技術者仲間と談笑している瞬間
ファイブソリューションズ株式会社
礒部 正幸さん
アルバイトの大学生たちは
みんなクリエイティブな技術者
経営している会社では、常時5人くらいの大学生が技術者としてアルバイトに来ています。そのほとんどが東大生。といっても、学歴で採用したわけではありません。
「面白さの波長が合う」。それが採用基準です。
自分たちの仕事はドローンに関する技術開発が主。アルバイトの子たちは全員理系で、技術を用いてやりたいことの方向性が同じなんです。漠然とした言い方ですが、その方向性とは「創造する」ということ。
自分自身も、アルバイトの子たちも、生産して消費されるだけのものは作りたくない。それよりも、「世の中に新たな価値を創り出す仕事をしたい」という点で一致しているんです。現在行っているドローンの開発も、創造することの一例ですね。
同じ方向を向いている彼らといるだけで、仕事が断然楽しくなるんです。技術者仲間とでも言いますか、みんな理系なので、雑談ひとつとっても電子回路の話やプログラミングの話。それで盛り上がれるんですよね。自分たちにとって「技術開発」ってエンタメそのもの。技術の事で共感できる彼らと仕事できる今の環境が大好きなんです。
技術者の卵がのびのびと働ける場所
だから、彼らが興味あるものだけに集中できるよう、職場環境には気を配っています。
ドローン以外の案件は基本的に自分が担当して、アルバイトの子たちにお願いするのはソフトウェア開発やシミュレーションだけです。
技術者として後輩にあたる彼らのために環境を整えたい理由。それは自分自身が、やりたいことと違う仕事をしてきた期間が長かったからです。
大学院生の時、卒業後はスーパーコンピュータを使って気象現象のシミュレーション業務をやりたいと思っていたんです。でも、就職した先では企業向けのシステム開発部に配属されてしまい、自分のやりたいと思っていたことが全く出来なかったんです。就職したてで自分のやりたいことばかり出来るとも当然思っていませんでしたけどね。
今思えば、クラウドの出始めの頃、その業務に携われていたので面白い仕事ではあったんです。でも当時の自分にとって「やりたいことができない環境」というのは、すごく辛く感じていました。
いくつか他の会社も経験してみましたが、結局、やりたいことをするには自分で会社を立ち上げるしかない、と思ったんです。理系の人間が好きなことをするとしたら、論文を書いて研究者になるか、起業するかの2択。そこで、自分は研究者ではないので会社を立ち上げる道を選んだというわけです。
自分のように遠回りせず、技術者の卵には最初から伸び伸びと働いて欲しい。
だからこそ、技術者として面白いこと、何かを創造することができる場を作りたかったんです。
自分たちの「好き」を追求して
社会に価値を提供する
ドローンの課題は、操縦や運用が難しいこと。操縦スキルも必要ですし、1台につき1人の操縦者が必要です。バッテリーも長くて数十分しか持ちません。自分たちが試みているのは、ドローンを自動操縦するソフトウェアの開発によって、それらの課題を解決しようということです。
自分たちの取り組みが上手くいくと、災害救助やインフラの点検に役立つことが期待されます。さらに、ドローンの自動化がより一般的になれば、エンタメ分野への応用が今以上に進むのではないでしょうか。規制の関係もあるのであくまで例としてですが、結婚式場でドローンを飛ばして、内蔵カメラでベストショットをどんどん撮影してくれたら素敵ですよね。
自分たちがやりたいことを通じて、世の中にとって価値のあるものを創造できたらとても幸せです。
根っからの技術者として、やりたいことをするために会社を立ち上げましたが、それと同時に後輩の技術者を育てる場にもなりました。今後は、ドローンの開発を行うだけではなく、技術者に必要なマインドを技術者の卵である学生たちに広めていけたらうれしいですね。
インタビュー 近内 一眞 / 撮影 岡本 卓大
ファイブソリューションズ株式会社
代表取締役CEO
礒部 正幸さん
1978年、埼玉県熊谷市生まれ。
子供の頃から科学技術に興味を持ち、東京工業大学でコンピュータサイエンスを学ぶ。
大手IT企業に就職するが、本当にやりたかった数学や物理法則を相手にするエンジニアリングを志し、ファイブソリューションズ株式会社を立ち上げる。
現在はドローンのソフトウェア開発のほか、エンジニア兼コンサルタントとしても活躍している。
ファイブソリューションズ株式会社