ちょっとした工夫や小さな気遣いに気づいてもらえた瞬間
武田住建
武田 信元さん
気づいてもらうことで
「頑張った甲斐があった!」と実感
仕事が終わって家に帰ると、奥さんと子どもが出迎えてくれる。当たり前のことが、当たり前のように続くというのが、僕にとっての”一番の幸せ”です。
一方、ささやかな幸せというのは、『小さな気遣いに気づいてもらえた瞬間』。
もちろん、お客様の希望通りに作るのは建設業として当然です。でも、それ以上に使いやすいものにしたり、ちょっとした工夫で綺麗に見せたり、といった工夫も必要だと思います。ときには気づいてもらえないこともあれば、かえって余計なお世話になってしまうこともある。その加減がとても難しいのですが、そこに気づいて喜んでもらえると「がんばった甲斐があった!」と実感できます。
父の仕事を受け継ぎ、今の世界へ
この仕事を始めて約15年。それまでは知人の魚屋に勤めていました。父の仕事を手伝ったことをきっかけに建設業へ転身。今は父が入院し、一人で武田住建を背負っています。
主な仕事は、リフォームや修理。大きな企業のように、家を建てるといった大規模な工事はありませんが、その代わりお客様の細かいニーズに応えられる。「ここをこうして欲しい」という依頼の他に、「ここはどうしたらいいかな?」という相談も多いです。
先日は、鳥小屋の増築工事をさせていただいた保育園から、「また鳥が増えてしまって困っている」という相談を受けました。
鳥小屋の横には木が生えていて、これ以上増設するのは難しい状況でしたが、「あえてこの木を活かしてみましょう!」と提案。鳥小屋の中に木を取り込むように工夫して、とても喜んでもらえました。
リフォームで現場に行くと、”業者さんを呼ぶほどじゃない状況”で困っていることにたくさん出くわします。ビスが1本緩んでいる、扉の開け閉めがしづらいといった些細なことも多いです。それを解消してあげる。もちろん、ついでなのでお金を請求することはありません。「依頼内容には入っていなくても、お兄ちゃんなら気軽にお願いできる」と言われることが何よりうれしい。たまに無茶振りされて困ることもありますけどね(笑)。
お客様にとっては”近所のお兄ちゃん”的な存在!
今の建築業は、とても不安定。先月は忙しかったけれど、今月はまったく仕事がない…なんて人もいます。決まった休みもなく、ボーナスもないけれど、僕はこの仕事をしていてよかったと思う。
なぜなら、サラリーマンと違って時間に融通がきくから。16時に作業が終われば、もうそこからフリータイム。ときには昼過ぎに終わってしまうこともある。会社勤めだとどうしても時間に縛られます。その点、自由に動けることがこの仕事の大きなメリットだと思います。
自由な時間が多い分、長年付き合いのあるお宅や施設の方と世間話をしたり、いろいろな話を聞かせていただいたりできる。それもプラスになります。お客様から見ると、”近所のお兄ちゃん”のような存在なのかもしれません。保育所では、「お兄ちゃん、また来た!」と子どもたちに絡まれることもありますね(笑)。
インタビュー 釜井 知典 / 撮影 青木 睦美
武田住建
武田 信元さん
東京都羽村市出身。高校卒業後、知り合いの魚屋に就職したが、その2年後、父親の建築業を手伝うことになり退職。それ以降、個人事業主としてリフォームや修理を中心に活動している。古くからの顧客をメインにしているが、お客様の細かいニーズに応えることをモットーにしている。
「武田住建」
代表:武田信元
住所:東京都西多摩郡瑞穂町むさし野1-5-30
電話:090-3684-4756