お客様が、またお店にきてくれた瞬間
El Pato
大東 清さん
お客様のアドバイスに「なるほど!」
初めてご来店いただいた方って表情がないことが多いんです。「おいしい!」とかリアクションはないので、正直、気に入ってくれたかはわかりません。
しばらく経って、またご来店いただいたときは、胸がいっぱいになります。そのうち、新しいお客様と一緒に来てくれるようになることも多くて、本当にありがたい。
うちの店はハンバーガーなど、アメリカ料理を出しているのもあってか、アメリカ人のお客様もよく来てくれますけど、常連さん同士が「あれー、○○じゃん」ってなるときがあるんです。
中央線に外国人のコミュニティがあるみたいで、うちの店でバッタリ会うことも。「この人たち友達だったんだ」って、面白いですよね。お客様同士がつながって、仲良くなる場所になればいいですね。
お客様と何度か顔を合わせるうちに、お話をすることもあって、料理のことやドリンクについて意見を聞けるようにもなりました。
人伝いの口コミには嘘がない
お金を払えば、グルメ系サイトに掲載することができますけど、それより口コミがいいなと思っています。「信頼できる友達がおいしいと言っているから、行ってみよう」というのは、情報がリアルですよね。
口コミって嘘がない。まずかったらまずいって言われちゃいますし。人伝いに広がっていくということが、一番理想的だと思うんですよね。お店のためにも。
うちの店はホームページを作っていないんですよ。ホームページを作っている時間があるんだったら、もう一品新メニューを作りたいと思ってしまうので。単純にコンピュータが苦手なのもあります(笑)。ブログを一時期やっていましたけど、全然更新できていない。
厨房はお客様に見えるようにオープンキッチンにしています。アメリカで働いていたレストランがそうだったので馴染みがありますね。どんな食材をどのように調理しているか、カウンターから見えるのが気に入っています。調理風景を見ていただくことで、お客様も安心してもらえるんじゃないかな。隠すようなことはしていないので。
家族とスタッフに恵まれて、今がある
正直、二十代後半までは飲食の仕事があまり好きじゃなかった。アメリカで皿洗いから始めて、いつの間にかいい歳になっていたんですよね(笑)。
もともと人生で一度は自分の手で稼ぎたいという想いがあって、考えられる方法が飲食しかなかったのでやり始めました。
日本に帰ってきて、仕入などお店の回し方を2店舗で学ばせていただいてからの開店でした。当時はやっぱり不安だったけれど、奥さんに一緒にやってもらってなんとか形になってきた。僕はもともと無口な方なので、明るい奥さんやスタッフがお店にいてくれるのは大変恵まれているなと感じます。おかげさまで今では仕事が楽しいです。
今年でオープン6年目になります。
まだまだ、料理もドリンクも勉強しながらの日々ですね。ゆくゆくはお店を大きくしたいなんて夢も持っています。どんな商売もそうかもしれませんけれど、「お客様に喜んで帰ってもらいたい」僕の心情はそれに尽きます。おいしい料理を食べて、おいしいドリンクを飲んでもらう。シンプルでいて難しいことですね。
インタビュー トグチダ / 撮影 北原 千恵美
El Pato
オーナーシェフ
大東 清さん
高校生のときにアメリカに留学し、そのまま大学に進学するも、中退して日本料理屋で働く。23歳のときにロスの専門学校に入学。どうせならロスで一番いい店で働きたいと思い直談判の末、皿洗いから修行を始める。2年後店を移り、7年間飲食を学ぶ。31歳のときに日本に帰国後、2店舗で修行。34歳で「エルパト」をオープンさせた。
「エルパト」
住所:東京都杉並区高円寺北2-22-10
電話:03-6795-7888
営業時間:12:00~15:30/18:00~26:00
定休日:月曜日
自家製バンズのクラッシックチーズバーガー 980円
ラムバーガー 1380円
BLTサンウィッチ 980円ほか
アメリカの地ビールもあり。