自分とお客様のわくわく感がつながった瞬間
ジュエリー作家
多持さやかさん
オリジナルの「特別なジュエリー」
「ここまでしっくりくるアクセサリー、今までなかったです」とお客様に言ってもらえると、「あぁ、やってよかった」って思わず涙腺がゆるみます。
私のところに来てくれるお客様は、オリジナルのアクセサリーを作りたいという方です。今までさんざん既製品のアクセサリーをつけてきたけれど、「何か違うんだよな」と違和感みたいなものを持っていたり、自分のお守りみたいなアクセサリーが欲しかったりする方など。そんな方の「特別なジュエリー」を作るお手伝いをしています。お母さんにもらったゴールドのネックレスを使って欲しいというような、思い出の品をリメイクする依頼も最近増えてきましたね。
特定の一人のために作るアクセサリーなので、やっぱり本人が気に入ってくれるのが一番の幸せです。
ものにもよりますけど、1作品2カ月くらいかけて制作していきます。オリジナル作品なので、お客様と一緒になって作っていくというイメージに近いかもしれません。
親身になってお客様と気持ちを共有
ジュエリーを作っていくうえで、まず始めに打ち合わせをするんです。お客様がどんな状況で、どんなジュエリーが欲しいのかなどを、ヒアリングしていきます。私の作風、今まで作ってきたものを見せたりしつつ、コンセンサスをはかっていきます。ある程度お話を聞かせてもらったら、お客様に合ったテイストをご提案させていただくことが多いです。
たとえば、好きなファッションや色を聞いて、「ここまで派手なものは使わないだろう」とか、デザインをお客様の好みに近づけていきます。「転職をしたい」と思っている方だったら、新しいことを始めるという意味合いを持った石を使ってみませんか、とか。収集癖があって、たくさん石を持ってるんです。それを見せて石が持っている意味を説明しながら、お客様に選んでもらうこともありますね。
「特別なジュエリー」を作るにあたって、打ち合わせはとても大切です。カウンセラー的な要素も必要かもしれません(笑)。親身になって、お客様と気持ちを共有させていただくことで、より素敵なものができ上がると思うんですよね。
お互いが満足いく作品にしたいという想いで進める作業って、気持ちがいい。自分とお客様のわくわく感がつながる瞬間ってあるんですよ。共有感覚というか。そういう関係のなか一緒に作り上げていくと、発見もあって、予想を上回るほど素敵なアクセサリーができることもしょっちゅうです。驚きと感動。それが既製品にはない、オリジナルアクセサリーのよさです。
お客様の喜びで報われる
自分よりお客様のためのアクセサリーを作る方が、力を出そうと思えるんです。自分のためのものって、やっぱり欲が入っちゃうんですよね。でき上がった作品を見ると、人のために作ったもののほうが、断然いいです。仕事に対するプライドとか責任感とかで熱が入るということもあるけど、根本的に人のために作る方が性に合っているのかもしれません。
アクセサリーを作るのは結構孤独な作業ですけど、でき上がった作品、お客様の喜びで報われるというか、次もがんばろうと思える。ありがたいことにリピートで発注いただけることも増えてきたので、期待に応えられるようにがんばっていきます。
あと、制作中、感覚が研ぎ澄まされていくときがあって、山の風景とか夕日を見て心をうたれることもあります(笑)。きれいな風景を見るというのも私の小さな幸せです。
インタビュー トグチダ / 撮影 北原 千恵美
ジュエリー作家
多持さやかさん
2005年、バックパッカーをしているときに天然石に魅了されジュエリー製作開始。ひこみずのジュエリーカレッジ中退後、2008年より彫金師 原澤幸治氏に師事。only 1, favorite jewelryをテーマに、その方のためだけにデザイン製作したオーダージュエリーを提供している。
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