お客様に「会いに来たよ」と言ってもらえる瞬間
used&new clothing 高円寺JuRian
くまさん
商売にならなくても嬉しいんです
顔見知りのおばあちゃんが「あなたがいるかと思って」と言って会いに来てくれたことがあるんです。若い子向けしかない商品の中から、ハンカチを買ってくれて。きっとうちの店で買う必要なんてないんですよね。その方は体があまりよくなくて、それでもわざわざ足を運んでくれたんです。私の人柄を好いてくれたのかなとか、おこがましいかもしれないけど、ほっこり心が和みます。とても大切なお客さんです。
この店は10年前に店員として入って、オーナーになって今年で6年目になります。長いことやっていると、お客さんが買い物というより、会いに来てくれることがあるんです。大学生だった子が、すっかり大人になってひょっこり顏を出すことも。「くまちゃんに会いにきたよ」って言ってもらえるのってうれしいです。趣味は変わるので、洋服は売れないんですけどね(笑)。商売だけではなく、そういうお客さんとの出会いも、お店を構えていて感じることができる幸せの一つです。
こだわりや趣味を出しすぎない
古着屋を始めたのは、中学生の頃に古着にはまったのがきっかけです。なかなか飽きなかったんですよね。今は代表なので、売り上げなどの数字を管理しなくてはいけないんですが、苦手なのである程度は専門家に任せています。苦手なことを一生懸命やるという考えはありません。
もともと買付がやりたくてこの仕事を始めたので、最近は外出していることが多いですね。国内外問わず出かけて、蚤の市などで洋服を探します。
ファッションには周期があって、頭のなかに何となく入っています。次はこんな感じの服がいいかなとか。その周期を考慮して最新のコレクションや若い子の好みをリサーチしてから買付に行きます。古着屋を始めたばかりの頃は趣味やこだわりが強すぎたなと思います。こだわりが強すぎると、お客さんが欲しいものではなくなっちゃうときがあるんです。今はなるべく色や柄の仕入範囲と言いますか、いい意味でこだわらないように間口を広げるようにしています。古着にこだわらず、新品でも素敵なものは仕入れますしね。
食いしん坊のグルメ旅
いろんな場所に行くのでちょっとしたグルメ旅ができるのも小さな幸せです。九州に行って天ぷらを食べたり、北海道でいくら丼を食べたり、海外にも行けるんです。ご当地のおいしい料理を堪能できて、食いしん坊にはたまりません(笑)。
ドイツに行きつけのレストランがあって、仕事の後に立ち寄ると、おじいさんが覚えていてくれるんです。私は語学力がないので、昔は海外が嫌いでした。何を言われているのかほとんどわからないから。けれど、だんだん慣れてきましたね。とりあえず「ヤァヤァ」って言っておけばかまってもらえるんです(笑)。最近は、「ソーセージは好きか?」くらいはわかるようになりました。未だに「ヤァヤァ」でごまかすことがほとんどですけどね。異国の地でそんな会話を繰り広げるのも楽しいものです。
自分が得意なことを伸ばしていく
スタッフにも得意なことを伸ばして欲しいと思っています。基本的なことを一通り経験してもらって、接客が苦手だったらWeb系の仕事をやってもらうなど、苦手なことをがんばるより、興味があることを見つけて自由にやればいい。今のスタッフは3人で、私を含めて、うまい具合に得意分野が別れてきているので、いいんじゃないかな。
もともと装飾品が好きだったこともあり、実はもう一つお店を開く準備をしています。ヘッドドレスやアクセサリーのレンタルを考えていて、今のお店のテイストより派手でパンチがきいている商品を集めています。結婚式とか成人式など、一度しか使わないのに新品で買うと高いものってあるじゃないですか。そういうものをレンタルできるお店をオープンできたらなと構想中です。
インタビュー トグチダ / 撮影 北原 千恵美
used&new clothing 高円寺JuRian
オーナー
くまさん
静岡県出身。14歳で古着の魅力にはまる。バンタンデザイン研究所ストアプロデューサー本科を卒業。19歳で某古着店にて店長を務め退社。21歳の時に「JuRian」へ入社後、バイヤーを務め25歳で独立。コアラ好き。
「used&new clothing 高円寺JuRian」
住所:東京都杉並区高円寺南4-28-11 1F
電話:03-3351-1313
営業時間:12:00〜22:00