取材現場でお菓子を配って、みんなの笑顔があふれた瞬間
WEBディレクター・エディター
マーク・ヤーネスさん
カフェや公園での打ち合わせは
アイデアが沸いて楽しい
音楽を中心とした日本のカルチャーを発信する「MTV81」などのWEB媒体のディレクター・エディターを務めています。日本のカルチャーを海外のファンに伝えるために、ニュース記事を書いたり、取材の場合には通訳や、インタビューをしますね。
自分でこんなアーティストを紹介したいなと企画立案して、依頼を行うこともあります。編集の打ち合わせは、専門分野のライターさんと、カフェや公園で行うことが多いです。そういう場所って企画のアイデアが沸いたりして、とても楽しいんです。
住むなら絶対に東京、日本だなって
僕はデンマーク人の父と、日本人の母の間に生まれたハーフなんですが、もともと日本で生活するとは思っていませんでした。父の仕事の関係でいろいろな国に住んでいたのですが、高校を卒業した頃にはシンガポールにいて、イギリス・ブリストルの大学に進むことがすでに決まっていました。
海外では、大学に入学する前などに長期間のホリデー(休暇)を取ることが多いのですが、ちょうどその頃、家族の事情で住んでいたシンガポールを離れることになったんです。ホリデー期間中に、母の地元である岡山を訪れる機会があり、窓から見える山や川、ゆったりした独特のペースがいいなと感じました。
そして、テレビから流れる音楽などを通し、ひとつひとつ日本のカルチャーを知って、文化にも興味を抱くようになったんです。東京にも何度か行っていましたが、岡山とは違った日本を体験し、次第に好きになりました。
日本のクリエイターが作ったものを、
そのまま自然に伝えられたら
ハウス、テクノなどのクラブミュージックが好きな僕は、都内の大学に進学してからクラブに通いつめました。もうそれは衝撃的でした。世界トップレベルのアーティストが毎週のように出演するという贅沢さ。やっぱり、住むなら絶対に東京、日本だなって。日本を好きになった理由のひとつは、音楽。そこが僕の中心になっています。
ずっと海外にいたので、日本語はほとんどしゃべれなかったんですが、東京で生活するようになってから言葉も覚えました。漢字の読み書きは大変だったんですが、いまでは英語と日本語の微妙な表現の違いもわかるようになり、海外アーティストとの意思疎通に生かせるようになりました。
メディアを通して、取材対象者の魅力を伝えるのが僕の役割です。「伝えること」って難しいし、だからこそ楽しいと感じます。編集作業を通して、ひとつの記事をまとめる達成感もあれば、執筆中になかなかスムーズに表現できないこともあるし。たまにスッといい言葉が出てきて、最高の文章や構成ができたなってときは本当に嬉しくて。伝えるっていいなって心から思います。
インタビューしている方と共感し合える時間を、
大切に
通訳したり、雑談を入れたり、現場でユニークな個性を持ってる人とやり取りできることが、この職業に就きたいと強く思った一番の理由です。
インタビューしている方と共感し合える瞬間。目が合う瞬間に、その人が話している気持ちの裏に秘められた言葉がわかったとき。自分も一緒だって感じられたときは嬉しいし、大切だなと思います。
尊敬しているクリエイターとかが一致するとなおさら。インタビュー中、取材対象が僕に興味を示してくれて、個人的な質問をくれたりするときも同じくらい嬉しいです。
先日、Especiaさん(大阪・堀池を中心に活動するガールズグループ)を取材したときに、「NERDS」というアメリカのキャンディを配ったんですね。
めずらしいものなのでみなさん素敵な笑顔を見せてくれて、その後にTwitterなどのSNSで「今日の取材は、お菓子があってごきげんです」なんて、共有した一コマをちゃんと留めてくれたのが幸せでした。
コミュニケーションから生まれる相手の発見が楽しさになり、面白さを伝えることにつながる。仕事って楽しいことじゃないよって言う人がいるかもしれないけど、僕はいい関係性を作って、楽しくしようとまず考えます。僕のモチベーションはそこにあると思いますね。
インタビュー 百 佐保里/杉田 直子 / 撮影 山田 敦士
WEBディレクター・エディター
マーク・ヤーネスさん
日本カルチャーを海外に発信する全編英語サイト「MTV81」などの編集ディレクションを手がける。今回は、アメリカ・オースティンで3月に行われた大規模イベント「サウス・バイ・サウスウエスト」の開催直前に、アーティスト DE DE MOUSEさんをインタビュー。
MTV81 http://www.mtv81.com/
DE DE MOUSE http://dedemouse.com/