従業員と”心”で繋がっているとわかった瞬間
セブンイレブン三豊三野町店
北岡 孝弘さん
意思の疎通が取れるまでは本当に大変な期間
ひと口にコンビニといっても、店長やオーナーによってお店の雰囲気は全く違う。床が泥だらけになっていようが、全然気にしないというところもよく見かけます。
従業員と納得できるお店を作っていくには、最初が肝心。「どうしてこんな細かいところまで…?」と従業員から不快に思われても、きちんと教育しなければならない。「汚れていたら掃除をする」「陳列はこういう順番で」といった基本的なことにも細かく指示を出します。そうすると、後から他の人を雇っても、最初の従業員が教育を引き継いでくれるんです。
アルバイトの募集を見てくる人の多くは、「コンビニの仕事は楽だろう」という考えを持っています。でも、実際には店に立ってレジを打つだけでなく、たくさんの仕事があります。だから、仕事全体を分かってもらうために、どんな人にでも最初は必ず厳しく接します。「これはしなくていいだろう」という妥協を許せば従業員は育たないし、店のレベルアップもできませんから。
ただ指示を出すだけではなく、考えさせることも重要。従業員が陳列を間違えたときには、「自分がお客さんならこんな棚の商品を手に取りたいと思うのか?」と、お客さんの立場に立って考えさせます。自分が嫌だと思うことは、お客さんだって嫌でしょう。反対に、清潔できちんと商品が陳列されているところには、自分でも行きたいと思う。お客様もきっと同じはずです。そういうことに気がつく人材を育てられるかどうかが、オーナーの手腕の見せ所だと思います。
今の従業員も、始めは疑問を持ちながら働いていたと思いますが、現在では掃除をはじめ商品の陳列まで、何も言わなくてもきちんとできている。それは、最初から厳しく指導してきた成果でもあります。個々の仕事内容を教えることもさることながら、何よりお客様の立場に立って仕事ができる従業員を育てることが一番大切なんです。
これが、僕にとってのささやかな幸せに繋がる。
自分の考えていることが、従業員に伝わる。細かい指示をしなくても、「オーナーが意図していることは、こういうことだろう」と読み取り、実行できる。そういう人材がいてくれることが、僕のささやかな幸せです。
これができていないと、こちらの意図と違う行動を取ったり、従業員同士でギクシャクしたりして結果的にミスが増える。うちでは商品のポップ一つでも、新商品が入れば従業員が自然と書いてくれる。自分から進んでするから本人もやりがいを感じているはず。いわば仕事が楽しみになる。こちらと従業員との意思の疎通が取れて歯車が回り始めると、こういった職場の雰囲気も自然と生まれてきます。
セブンイレブンの四国出店がスタート地点!
2014年8月にオープンして、現在で約1年半(2016年1月現在)。そのきっかけとなったのは、セブンイレブンの四国出店です。
昔から経営という分野で自分自身の力を試してみたいと思っていました。セブンイレブンが四国に進出することが決定し、「どうせやるのだったら、新天地で、第一歩から」と一念発起したのです。スーパーのバイヤーとして働いた経験があったので、わかりやすい業種だったというのも理由の一つですね。
従業員の成長は自分の成長に繋がる!
オーナーとしての仕事は、仕入れ・陳列・廃棄などの商品管理はもちろんですが、従業員との関係を築くということもあります。一番大変なのは、やはり従業員とのコミュニケーション。物事を知っていなければ、人に教えることはできません。人材を育てられなければ、自分も成長できない。「従業員の成長は自分の成長」なんだと言い切ることができる。人が育つということは、自分の成果の表れですから。もちろん、試行錯誤や失敗もたくさんあります。ですが、成功というものは、失敗して初めてつかめるものなんです。
そして、 商売は『笑売』。商売とは、ただ商品を売るだけではありません。自分が欲しいものを手にいれたときや、美味しいものを食べたときは、みんな笑顔になるはずです。その笑顔をお客様にも提供していきたいですね。
インタビュー 釜井 知典 / 撮影 真鍋 光太朗
セブンイレブン三豊三野町店
オーナー
北岡 孝弘さん
徳島県立美馬商業高等学校卒業。その後、調理師としてホテルで日本料理を中心に扱うが、スーパーのバイヤーに転身。7店舗ほどの仕入れ管理と新商品開発などを受け持つ。2014年8月、セブンイレブンの四国進出を機に香川へ移住し、セブンイレブン三豊三野町店オーナーとして開業する。
企業名:セブンイレブン三豊三野町店
住所:〒767-0031 香川県三豊市三野町下高瀬1301
電話番号:0875-73-3551
営業時間:24時間