症状を克服できた、というクライアントの報告を聞いた瞬間
ホメオパス(FCH認定ホメオパス)
山田 千鶴子さん
日本ではまだ認知度が低い
「ホメオパス」という仕事
少し前までは精神世界やアロマなどに興味がある女性のクライアントが多かったのですが、最近は男性サラリーマンも来るようになりました。「ホメオパシー」は日本では正式な医療ではなく、あくまで“西洋医学の治療を補完するもの”というカテゴリですが、日本社会にも段々と広まってきているような気がしています。
ホメオパシーは、もともとドイツで始まりました。レメディー(編集者注:植物や鉱物などを高度に希釈した液体を小さな砂糖の玉にしみこませたもの。「日本ホメオパシー医学学会」HPより)と呼ばれる粒を舌に置いて摂取し、さまざまな体調不良、精神的不調に対処しようとするものです。
身体が抱えている不調によってレメディを選ぶのですが、このレメディ、実は1000種類以上あると言われています。それぞれ期待できる効果が違うので、自分の身体に合ったものを選ぶのは至難の業。そこで、私達ホメオパスの出番です。
ホメオパシーのレメディを選ぶ役割を「ホメオパス」と言うのですが、クライアントに最も適したレメディを選ぶためにカウンセリングをし、身体の不調やライフスタイルについて聞いていきます。ベストなレメディを選ぶためには、たくさんの情報が必要ですから、初回は一時間半くらいかけてお話を聞いていきます。
その後におすすめのレメディを提案し、1カ月後にフォローアップのセッションを設ける。そこから先のセッションの頻度と期間はケースバイケース。これが私の仕事の基本的な流れですね。
「電車に乗れるようになりました」という
クライアントの報告
「電車に乗れるようになりました」
「出かけられるようになりました」
クライアントさんからそういう報告を受けると、本当にうれしいです。私のところにくるクライアントさんはパニック障害の方が多いのですが、その症状の一つに、“外出や乗り物が怖い”というものがあります。ホメオパシーのレメディを試したクライアントさんが、こういう恐怖を乗り越えられたという報告。ホメオパスとしてはこの瞬間が一番嬉しいですね。
今はこうやってクライアントさんにアドバイスする立場にいますが、実は私、逆の立場だったんです。私も過去に、パニック障害に悩まされていた時期が長くありました。だから、引きこもりがちだった人が外に出かけるようになった、 乗り物に乗れるようになった、というときの喜びは、本当によくわかります。
「パニック障害を乗り越えた」という強烈な実体験
20代の頃から通訳の仕事をしていて、今もホメオパスの仕事の傍ら続けています。通訳って、「華やかな世界で楽しそう」というイメージがあるかもしれませんが、意外とプレッシャーが大きい仕事なんです。
例えば、「訳せなかったらどうしよう」という不安は常に抱えていました。政府間交渉などの国の緊張感のあるシーンも多くて、そのプレッシャーからパニック障害になってしまったんです。
心療内科に通ったり、アロマや気功なども試したのですが、根本的には治らないまま、どうにか仕事を続けていました。
そんなある日、エージェントを通してホメオパシーの学校の講義通訳の仕事が舞い込んだんです。そこではじめてホメオパシーの考え方を知ることになったのですが、ものすごーく面白くて。仕事柄、医療系のセミナーはよく聴いていたのですが、こんなにも面白いと感じたのは初めてだったんです。
あまりに感動したものですから、結局その学校に入学してしまいました(笑)。入学後、講義を通訳したドイツ人医師のもと、ホメオパシーを本格的に実践しました。始めてすぐ、車に乗ることに抵抗がなくなりました。それまで通訳のクライアントと車に乗ることが本当に辛かったんですが、それが大丈夫になったんです。それからもホメオパシーを続けて、結局症状がなくなりました。10年間治らなかったのに、レメディがきっかけで改善したという経験は強烈でしたね。
この経験をブログに書いているので、それを見た同じくパニック障害で悩んでいる方から連絡をもらうことも結構多いですよ。ホメオパスとして活動する原動力にもなっているし、クライアントさんと出会うきっかけにもなっている。もちろん障害自体は辛かったんですが、それを乗り越えたことは、今の仕事に活きている強烈な経験です。
インタビュー 吉田 麻葉 / 撮影 Aiko Shibata
ホメオパス(FCH認定ホメオパス)
山田 千鶴子さん
通訳の仕事のストレスで長くパニック障害に苦しんだが、ホメオパシーがきっかけで症状が改善。FCH JAPANでホメオパシーの理論を学んだあと、独立しホメオパスに。趣味はフラダンス。夫、猫二匹と横浜下町在住。
・ブログ「パワフルで楽しい人生をめざすホメオパシー!ホメオパスちづのブログ」