facebookに手作りの指輪を発見した瞬間

クライアントのfacebook投稿を見てうれしくなる

 

結婚していても指輪をしていない人、よく見かけませんか？　実は結婚してしばらくすると、はずしてしまう人が結構多いんです。僕はリングプランナーとして結婚・婚約指輪の手作りをサポートしていますが、「クライアントが手作りした指輪をはずさないこと」というのが仕事の一つの目標になっています。愛着のある指輪、気に入っている指輪はなかなかはずせないはずなので、長くつけているということは、満足して頂いていることの表れだから。

 

この仕事はクライアントとの距離が近いので、facebookでつながることも多いです。僕はクライアントの日常的な投稿を楽しんで見ているんですが、ついつい左手の薬指ばかりに注目してしまいます（笑）「一緒に作ったあの指輪、つけているかな？」と。しっかり指輪を確認できると、うれしい気持ちになりますね。新しいネイルデザインの写真投稿なんかいいですね。指輪がしっかり写り込んでいるので、目を凝らして探す必要がありませんから（笑）。

 

 

 

 

 

 

最後まで拭えない、数％の不安

 

職人さんが最終仕上げをした指輪をクライアントに初めて見せる瞬間は、いつも緊張します。もちろん、すべての工程に手を抜くことなく仕上げているため品質には自信があります。それでも、クライアントに心から満足していただけるかどうかという数％の不安は、最後まで拭えません。

 

 

緊張がマックスに達するのは、クライアントが指輪の入っている箱を初めて開けるその瞬間です。どんなリアクションがあるか、どんな表情になるかと目が離せません。その反応がすべて、僕の仕事の評価だと思うんです。咄嗟のリアクションには、本心が現れますよね。お世辞や嘘のないピュアな評価を頂く瞬間です。

 

 

 

 

 

指輪作りから「手作り」にハマる方も

 

僕はリングプランナーという肩書きのとおり、クライアントがオリジナルの指輪を作る過程をサポートするのが仕事です。もちろん、最終の仕上げはプロの職人さんの力を借りますが、主人公はあくまでクライアント。ご自身でデザインから制作までかかわるので、意外と大変です。

 

 

まずは指輪のコンセプトを考えて、デザイン画を描いて、ワックス（ロウ材）で指輪の原型を作る――。簡単に終わる工程じゃないからこそ、指輪に対する愛着がどんどん深くなります。お二人で作っている場合は絆も深まる。僕はクライアントがスムーズに思い通りの指輪を作るためのアドバイスと進行管理、職人さんの作業の調整をします。

 

1時間くらいで手作り指輪が作れるという簡単な店もあると思いますが、僕のところはもっと時間がかかります。クライアントがなぜ指輪を手作りしたいのか、コンセプトは何かというところからお話を始めて、デザイン案の宿題まで出します（笑）。

 

あるクライアントに「もうちょっと手伝ってくれるのかと思いました」と冗談めいて言われたことがあるくらい。でもその方は、出来上がりにも手作りの工程にも満足してくれていて、かえって「手作り」というものにハマってしまったそうです。結婚式には、指輪だけでなく、他のものも手作りで用意したとおっしゃっていました。

 

 

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薬指の争奪戦

 

リングプランナーとして独立する前は、宝石販売の会社で手作りジュエリーの事業に携わっていました。その仕事をしながら、結婚・婚約指輪を選ぶときにもっと選択肢があればいいのに、と感じていました。結婚指輪といえば、有名ブランド店のショーウィンドウの中から選ぶというイメージがありますよね。でも、ブランドに興味がない人もいるし、既製品の中にピンとくるものがない人もいる。そんな人達のために、唯一無二の手作り指輪というサービスがあれば解決策になる、と思ってこの事業を立ち上げました。

 

 

結婚指輪も婚約指輪もほとんどの人は人生に一本。一人一回ですよね。業界の人間から見たら、いわば左手の薬指の争奪戦です（笑）。でも、本人にはそんなこと関係ないし、一生に一度の記念の品だから妥協したくない。とことんこだわってよいものにしたい。僕のやっている「指輪を手作りする」というのはまだまだニッチなニーズかもしれません。でも、指輪選びの選択肢を少しでも広げられたら――。選択肢を広げることで、クライアントの結婚・婚約の喜びをもっと大きくできたら――。そんな思いを胸に、日々活動しています。