担当路線の訪問先にビクラムヨガ・スタジオがあると分かる瞬間
ビクラムヨガ・インストラクター/米系大手航空会社・客室乗務員
桂 京子さん
ビクラムヨガ・インストラクターと
キャビン・アテンダント、二足の草鞋
「どちらが本業ですか?」よくと聞かれるのですが、私自身どちらが本業と考えたことはなく、どちらも自分のプロフェッショナルな仕事だと思っています。今は仕事上、ニューヨークとヒューストン(テキサス州)の2つの都市を中心に世界のあちこちを行ったり来たりの生活。
現在は、所属する航空会社の拠点がヒューストンにあるため、基本はそこにいることが多いかな。もしくは、空の上(笑)。キャビン・アテンダント(以下、CA)として働くため、世界のいろいろな都市を訪れますが、その際の私の楽しみが、訪問先都市でビクラムヨガのクラスを受けること。
ヨガを教えるときは、ニューヨークです。自分の家もあるため、できるだけ帰ってきたいのですが、スケジュール次第なところはあります。担当路線の行き先が決まるとまずすることは、その都市にビクラムヨガのスタジオがあるかどうか。スタジオがあるのを見つけると、やった!と心の中でガッツポーズ。
これまでに訪れた都市でスタジオ訪問したのは、ロンドン、オスロー、ローマ、マドリッド、パリ、ハンブルグ、エディンバラ、テルアビブ・・・など。さすがにいきなり飛び込みでは教えさせてくれませんが(笑)、いろんな都市のクラスを受けられることは貴重ですし、自分が教える際の勉強にもなります。
第一印象は最悪だったビクラム・ヨガ
今では生活になくてはならないヨガですが、初めての出合いは最悪。インストラクターになる前、ロサンゼルスで舞台のダンサーとして働いていていたときに、ダンサー仲間が教えてくれて試してみましたが、答えは・・・まったくもってNo!スタジオ内が暑いのはともかく、汗の充満したあのニオイがどうも・・・。ほどなく別のスタジオを試す機会があり、そこでは大丈夫でした。むしろ、すぐにハマって通うようにまで。
その後、アメリカの永住権が取れ、ニューヨークに戻ったのですが、そこでもスタジオを見つけ、ビクラム・ヨガ三昧の生活に。アルバイトをしながらスタジオに通う生活をしている中、インストラクターになるためのトレーニングがあることを知りました。「このヨガを教えることが仕事になるのか!ならば、その道を進んでみたい」と、迷うことなくチャレンジ。そこから約5年、ヨガを教えることだけを仕事にしてきました。
福利厚生にひかれて客室乗務員へ
ある日、私の教えるクラスに通っていた生徒からCAの仕事を勧められたんです。実際彼女はCAとして働いていたのですが、「向いていると思う。受けてみたら?私が推薦するから。」とまで。彼女のひと言に、心が動かされたのも事実でした。実際に彼女は、所属する航空会社に推薦までしてくれたのですが、あいにく募集のタイミングと合わず・・・。しかし、同じ時期に自分で応募していた別の航空会社から採用の通知が来るという、驚きの展開に。
正直、CAに憧れていたわけではありませんでしたが、人と触れ合うことは好きだったし、何より、福利厚生のある仕事に就けるということは大きかった! インストラクターの仕事は楽しかったけれど、立場はフリーランサーと同じなので、保険がつくわけでない。医療費の高いアメリカ故に、常に不安がつきまとっていたのは確かでしたから。ひとまずその不安が消えるというだけで精神的に楽になりました。
接客業で得た視野と、
ふところを広く持つということ
ヨガを始めてから、自分自身にストイックになった気がします。普通は大らかになりそうですが、私の場合は逆(笑)。チャンピオンシップの大会に出たこともありますが、そのときは、生活の一部というより、上手くなりたい、優勝したい・・・という思いが強くて練習していました。そりゃ、ストイックになりますよね。当時はきっと、教える際も自分の基準を生徒に求め、厳しくなっていただろうなと、今は反省の思いです。
今はクラスを持つ際、どんな生徒がいようと、皆それぞれの背景、その時々の体調、精神状態があって、体型も異なって・・・と、大らかに見られるようになりました。それが悟れるようになったのは、CAとして一期一会の接客業に携わったからだと思うんです。
CAは一度に数百人というお客様と触れ合うわけですが、機内でご一緒する方のほとんどは、そのとき限り。ヨガスタジオでは毎度顔をあわせる常連さんがいますが、機内では基本、第一印象が勝負です。年齢層から国籍、機内の過ごし方、サービスに対する期待度までいろんな人がいる中で、フラットな見方で全ての方に満足いただけるサービスを提供するのが目標です。
CAの仕事上、不規則な生活リズムになるのは否めません。だからこそ、クラスを取ることは心身を正常なバランスに整える大切な役割でもあります。今や、私の生活においては、ヨガとフライトは2つで1セット。どちらもなくてはならないものになっています。
インタビュー 巌 真弓 / 撮影 Mayuko
ビクラムヨガ・インストラクター/米系大手航空会社・客室乗務員
桂 京子さん
幼少時より器械体操をはじめる。日本で大学を卒業後、渡米。ディズニーの「アラジン」「王様と私」「ピーターパン」などの舞台でダンサーとして活躍。2005年よりニューヨークにて、ビクラムヨガ・インストラクターとして教え始める。2013年より、米国の大手航空会社で客室乗務員としても働き始める。現在、ニューヨークとヒューストンを生活の拠点に客室乗務員をしながら、仕事で行く世界中の各都市でビクラムヨガのスタジオを訪問し、クラスを楽しんでいる。