異国の地で学生が慕ってくれた瞬間
KADOKAWA Contents Academy 株式会社
渋谷 祥吾さん
夢を持つ学生のなかで、
僕は僕の夢を描く
先生を意味する「老師(ラオシー)」と呼ばれることにも、最近ようやく慣れてきました。
ここは角川国際動漫教育といって、KADOKAWAが台湾に設立したマンガ家やアニメーターなどを育成するスクール。学生は10~40代と幅広く、みんな日本の漫画・アニメに憧れて、自分でも描きたくてやってくる。僕は事務局スタッフとして運営兼広報をしています。
なんとなく日本を出て働いてみたいと思っていました。「海外に常駐して働いている」なんて人に言うと「すごいね!」と返ってくるけど、正直、今の自分は願いが叶ったとは言えない。2年目で右も左もわからないし、中国語も話せないから、学生と十分にコミュニケーションを取れていない。同僚というか、気の強い現地スタッフ(笑)に叱られそうになることもあります。
そんな僕でも、学生が無邪気な笑顔で「老師(ラオシー)!」と呼んでくれて、自分で描いたイラストや漫画を見せに来てくれます。まあ僕は講師ではなく事務局スタッフなんですけどね(笑)。学生達の作品は日本のアニメキャラを描いたものが大半なんですけど、なかにはオリジナルの作品もある。入学したときから比べると格段に上手くなっていたりして、本当にスゴイなあと思います。
「いいじゃん、かっこいいね」
そう伝えてあげると、それはそれはうれしそうな顔をしてくれるんです。今の僕は、かつて思い描いていたような仕事ができているとは思えないけど、それでも、夢を追いかけて目を輝かせている彼らから慕われると、ちょっと励まされます。
就職活動、チャンスは学内にあった
高校で進路を考えたときに大切にしたのは、語学に加えて、好きな映画・映像を学ぶこと。留学ができること。自分の可能性を広げられること。それを実現できると感じたのがデジタルハリウッド大学でした。
大学2年から3年にかけてロサンゼルスに留学して、毎日何かが起こりそうなワクワク感や刺激のなかに身を置きました。日本に戻ってからの就職活動では、海外に進出している企業等を模索していたのですが、正直あまり上手くはいっていませんでした。
そんなある日、友達に付いて学内の喫煙所に行った時、デジハリの古賀さんがいたんです。面識はあったので、挨拶をかわし、「就活どう?」と聞かれたので、現状を話してみました。そしたら、「これから日本のクールジャパンコンテンツに関わる新規事業を始めるんだけど、興味ある?そうなればいずれは海外に行ってもらうことになるよ。」
と誘っていただきました。
「興味あります!」
その場で即答したのを今でもはっきりと覚えています。
If you can dream it,
you can do it.
僕は小さい頃から観光業界で働くことに憧れていました。今でも覚えているのは、家族で行った沖縄旅行のリゾートホテル。優雅にバカンスを楽しむ家族と、やさしくてかっこいいホテルマン。人の笑顔が溢れるキラキラした空間。毎日こんな場所にいれたら幸せだなと思いました。
今働いている学校とホテルは、業態は違うかもしれないけれど、学校やホテルという「ハコ」に、いかに魅力を感じて集まってきてもらうかという点では、共通している部分も多いと思っています。
だから、20代は今のスクール運営スタッフという仕事を精一杯頑張るつもりです。これから会社が新しく展開しようとしているので、海外各地の学校を任せてもらえるようになりたいです。そして10年後を目安に、自分の力でリゾートホテルを経営できるようになっていたいと思っています。
仕事をしていてときどき思い出す、好きな言葉があります。
If you can dream it, you can do it.
接客サービス、そしてコミュニケーションの最高峰を目指して上を向いて行動していたら、きっと夢は叶う。そう信じています。
インタビュー 伊藤 紘子 / 撮影 桜坂 卓也
KADOKAWA Contents Academy 株式会社
角川国際動漫教育 事務局スタッフ
渋谷 祥吾さん
東京都出身。
デジタルハリウッド大学在学中にアメリカ・ロサンゼルスに留学。
大学卒業後、KADOKAWAグループ傘下のKADOKAWA Contents Academy 株式会社へ入社。
台湾で開校したクリエイター育成スクール「角川国際動漫教育」の事務局スタッフとして、学校運営、広報の仕事に就く。