子どもたちの元気な声が、厨房に”こだま”した瞬間
Prier/プリエ
岡部敬介さん
厨房に響く、元気な子どもたちの声
オーナーシェフとしての幸せは、「おいしい!」の一言に尽きます。
でも、それとは別に、自分で商売をしているからこそ感じられるささやかな幸せもある。それは、私の子どもたちが登下校する際、お店の厨房を通って「行ってきまーす!」「ただいまー!」と元気に挨拶してくれること。これは、自営業でなければできない経験だと思います。
子どもたちも私の仕事に対して興味を持っていて、「おいしい!」と褒めてくれたりします。マジパン細工を見せると、目を丸くして驚くことも。そんな子どものために、毎年戦隊もののマジパン人形を作っています。
このマジパンというのは、アーモンドと砂糖で作った粘土みたいなもので、誕生日やウェディングなどの記念日によく見られるお菓子です。作りながら、箱を開けた瞬間に驚くお客様の顔を想像して、思わずニヤリとするときもありますね(笑)。
自分が作ったお菓子で
沢山のお客様に喜んでほしい!
最初に勤めていたのは札幌の和洋菓子屋ですが、工場ということで規模が大きく、毎日単純作業の繰り返し。それが悪いというわけではないのですが、私は自分が作ったお菓子がどういう方に売れているのか、お客様は喜んでくださっているのかを確かめたかった。それで、自分の店を持とうと一念発起しました。
店名に選んだ『Prier(プリエ)』は、フランス語で『祈る、願う』という意味で、お客様に幸せになっていただきたいという思いから名付けました。
当初は妻が売り場に立ち、私が厨房というスタイルでしたが、3年前に彼女が教員の仕事に就いたため、包装や販売も私が関わるようになりました。そこで、ふいに気づいたことがあります。例えば、デコレーションやお店の飾り付け。昔は外観なんて気に留めなかったのですが、妻が一線を退いてから「ただおいしいだけじゃなく、楽しいと思えるようなお店にしないと!」と思いました。そして2014年リニューアルを決心したのです。なるべくお客様に喜んでもらえるように、家具や壁紙を南仏調に変更。ちょうど10周年ということもあり、いい機会になりました。
今は、お客様がお菓子を食べられるスペースを作ることを検討しています。少しでも多くの方にくつろいでいただけるような空間を作っていきたいです。
お菓子を食べるときのようなささやかな喜びを、
全てのお客様に
お店によっては卸業者を入れる場合もありますが、Prier(プリエ)では洋菓子・生洋菓子・焼き菓子の三種類全てをここで製造・販売しています。現在は、全部合わせて70〜80種類ほど。
私が八百屋さんのような声を出すからか、思いの外男性が多く、作業着の方が平気で入って来れるような気兼ねのないお店です。男性はカフェのような小ぎれいなお店だと照れて入りづらい方もいますが、うちではそれがなく客層も幅広いです。
お店を大きくしたり、売り上げを伸ばすというのももちろん大切。でも、お菓子を食べたときのようなささやかな喜びを、少しでも多くのお客様におすそ分けしたい。今後、そういう風に感じてくれるお客様が増えれば、とてもうれしいです。
インタビュー 釜井 知典 / 撮影 釜井 知典
Prier/プリエ
オーナーシェフ
岡部敬介さん
東京都出身。大学卒業後、平成元年に札幌の和洋菓子店に就職。平成15年に退社し、1年の準備期間を経て平成16年10月に「Prier/プリエ」開業。 店頭に並べているものは、全て「Prier/プリエ」で製作・販売している。相模原お店大賞2009受賞、るるぶ相模原、横浜ウォーカーに掲載された経験があり、「マジパン」で数々の賞・実績を持つ。
1999年 東日本洋菓子作品展 マジパン部門 金賞
2000年 ジャパンケーキショー 小型工芸部門 銀賞
2002年 全国洋菓子技術コンテスト 連合会公認技術指導委員長賞
2003年 ジャパンケーキショー マジパン部門 金賞
2004年 独立開業 地域のみなさまへ感謝の気持ちを込め、お祝いケーキの製作に専念。
2006年 JALバースデイ割引の広告に採用される。
2008年 姫路全国菓子博覧会出品
2010年 「マジパン制作」共著にて出版(旭屋出版より)
2012年 ジャパンケーキショー マジパン部門 銀賞
Prier/プリエ
住所:神奈川県相模原市西橋本1-20-19
電話:042-774-6535
営業時間:10:00〜19:00 (定休日:毎週月曜・第3日曜)