コンビニで買い物したときに、袋の取っ手がクルクルされている瞬間
株式会社ネットマーケティング
能登 円香さん
日本人のDNAにある丁寧さを、
私も自分の仕事に込めたい
会社から1分のところにコンビニがあり、かなり頻繁に使っています。通勤時に飲み物を買ったり、お昼にランチを買ったり、私はお昼をサクッと食べてすぐに仕事に戻りたいタイプなので、会計の間も(デスクに戻ったらまず、あのタスクを終わらせよう。)なんて思いながら待っているんですけど、店員さんから袋を渡されるとき、いつもちょっとだけうれしくなります。その理由は、ビニール袋の持ち手を揃えて、しかもクルクルとまとめて、私が持ちやすいように渡してくれるから。
8年間ほど海外で過ごしていた私にとって、日本のきめ細やかなサービスは本当に新鮮。これがアメリカだったら、どこが持ち手かわからない状態の、グシャグシャの袋がポイッと置かれているだけ。だから久しぶりに日本に帰ってきて、コンビニで買い物をしたときに、“クルクル”を見て、「あ」って思って、「こちらこそありがとう」と言いたくなっちゃいました。
以前アメリカで読んだ本なんですけど、ロールケーキがおいしいお店だったかな?日本の人気洋菓子店のパティシエが取り上げられていて、その方が「丁寧に仕事をすることが、日本人として最低限できること」というようなことを言われてたんです。私も日本人として生まれたからには、その丁寧さとか、きめ細やかさを仕事で表現しようと心がけています。
たとえばメールひとつをとっても、相手のことを考えて、わかりやすく伝わるように推敲したりしてます。そうすると割に時間がかかってしまうんですけど、丁寧にやることで、その後のやりとりが早くなれば効率的だと思います。日本に帰ってきて、袋のクルクルを見て「あ」って思った瞬間を忘れないでいたいです。
留学生活は
アパートと大学の往復
日本の大学を卒業したあとはアメリカに留学して、むこうの大学院で経営やファイナンスを学びました。留学って楽しそう、みたいなイメージがあったんですが、私の場合は家と大学の往復だけ。美容院だって1年間行けなくて、自分の身なりにかまっている余裕なんてありませんでした。
授業はグループワークがほとんどで「この日までにグループで考えてくるように」と課題が出るんですが、一緒のグループのアメリカ人、中国人、インド人は何も準備してこないんです。生真面目に考えてくるのは日本人の私だけでしたね(笑)。英語が得意ではなかったので、予習・復習に時間がかかったし、宿題やグループワークのための課題で日々があっという間に過ぎていきました。あんなにつらかったことはない! というほど。卒業できたことは、私にとって最大の誇りです。
卒業後、学んだことを活かそうと金融系の会社に進もうと思った矢先、待っていたのはリーマンショック。そこでIT系に方向転換したのですが、これが意外にも自分の肌に合っていて、アメリカのIT企業で4年半働いて、30歳で日本に戻ってきました。
女性の「働き続ける」という選択肢を
応援していけたらいいな
今の会社で働いて1年半。「Omiai」という自社メディアサービスを経て、新規事業部門に異動しました。新しい部署では、私の適応力のようなものを評価してもらっている気がします。「能登は、何をやらせてもめげない」的な。ここで成果を上げたいと思っています。
それとは別に、最近 “女性が働く”ということについて考える機会が増えていて。同世代の友人と話していても、悩んでいるとまで言わなくても、「このまま働いてもいいんだよね」と、仕事を続けることを堂々と言えない何かがあると感じます。結婚とか出産とかの選択肢もいいけど、働くっていう選択肢もあっていい。女性の選択肢の広さを OKにできるような社会を作りたいですね。
自分のなかでもまとまっていなくて、説明しづらいんですけど・・・自分が40~50代になった頃に、そのときの30代の女性たちが“働く”っていう選択肢を気兼ねなく選べて、キャリアアップを前向きに考えられるようになっていけばいいな、と思うんですよね。そんなことも意識しながら、働いていきたいです。
インタビュー 伊藤 紘子 / 撮影 桜坂 卓也
株式会社ネットマーケティング
新規事業開発室
能登 円香さん
北海道出身。
文教大学人間科学部卒業後、アメリカの大学院でMBAを取得。
現地のIT企業に就職し、4年半働いた後に帰国。
株式会社ネットマーケティングで、Facebook恋活アプリ「Omiai」の担当を経て、転職サービス「Switch.」の担当に。