「今、どこにいるんだっけ?」と記憶がなくなる瞬間
ダンサー
Uoominさん
タガを外すことで、自由に踊れる
踊っているとき、ふと、会場の端っこの人に目がとまることがあります。そんな余裕全然ないのに(笑)。一瞬だけ記憶がなくなってしまうような感覚。「あれ!? 今、私どこにいるんだっけ?」って。それでも音楽は流れていて、体はどんどん動いていく。そういう状態になると、気持ちがいい! 何も考えていなくても動きのイメージが自然と出てきて感覚でわかるんです。「あっ次は止まる」とか。「とぶ」とでもいうんですかね。自分で自分が説明できないところにいける瞬間ってあるんです。
もちろん集中力や陶酔力も関係します。けれど、私にとってのポイントは人目が気にならなくなったとき。「こんな踊りやっているんだ」「この曲でそんな動きするの?」みたいな眼差しや、このジャンルはこうすべきという常識みたいなものがブレーキをかけちゃう。そういうタガを外せると、やっと自由に踊れる。そこを超えると、後はどんどん「入り込むのみ」ですね。
ベリーダンサーではなく、ショーダンサー
誘ってもらったイベントはできるだけ断らないというのが私のスタンスです。自分のジャンルを決めて、「これは私とは合わない」と断るのは、私にとって「安心」でしかない。やったことがなくても、こんな会場、こんな曲でどう踊るかということを考えたいです。
むしろ逆にワクワクさせてもらっているのかも。同じじゃ飽きちゃいますからね。ジャンルとか環境って想像力である程度、越えていけるものだと思うんですよね。もちろん、やってダメなときもあるけど(笑)。
想像できるかが一つの物差し
昔はバンドをやっていたんですけど、歌と全然関係ないところで喉を悪くして。声ががさがさになって、長いこと歌ができなくなってしまった。小さい頃から、ステージに立つ機会が多かったので、半年くらいでストレスになりましたね。そんなとき、行きつけのペルシャ料理屋でベリーダンスを勧められていたのを思い出したんです。
もともと体が硬いし、ダンスをしたこともしてみたいと思うこともなかったんですけど、試しにレッスンを受けてみました。そのときに、「あ、これできるやつだ」って感じたんです。「ここを動かすと、こう動く」ということが何となく想像できて。想像できるかどうかって、物差しの一つだと思うんですよね。ダンスは曲ごとに振り付けも雰囲気も変わるので、飽き性の私に意外と合っていました。
人を通して知る自分
人と話すことも好き。「だよね!!」という風にわかえりあえる瞬間って、ダンスセッションの気持ちよさと通ずるものがあります。言葉にならないうれしさというか。子どもも大人も同じだと思います。話していて、お互いの感覚とか間とかを感じられる瞬間がある。
じっと腰を据えて自分と向き合うことがあまり得意じゃないので、人と関わっていくなかで、私ってこういうこと思っているんだとか気づけることは幸せ。最終的には犬、猫とも共感できる気がします(笑)。
根本的には自分がどれだけ違和感なく過ごせるかということを大切にしています。ダンスを始めて6年。今後も自分の感覚に正直に進んでいきたいですね。
インタビュー トグチダ / 撮影 北原千恵美
ダンサー
Uoominさん
その時・場所から、そこに居る人とつくり出す空間を感じて表現する、一期一会のパフォーマンス集団『154(イチゴヨ)』の音頭取り。流動的なチームスタイルで変幻自在のパフォーマンスを展開しながら、ショーケースやセッションで東京を拠点に周辺のclub・ ライブハウス・bar・caféなどで活動中。2014年2月「Umlauf〜循環〜」@ラフォーレミュージアム原宿では振付を担当。一緒にあがれる仲間を随時募集中。