帰り道、車に乗って家に近づいていく瞬間

帰路に着いた途端、ひしひしと感じる幸福感

 

どんな職業でも、”大きな幸せ”は沢山あります。幼稚園の先生も本当にかけがえのない職業で、どれだけ大変なことが多くても素晴らしいと思っているからこそ続けられる。子どもたちの成長を感じたときや、運動会で組体操をして技が決まった瞬間などは、涙が出るくらい本当に幸せです。

 

そんな沢山の幸せに囲まれた中で僕にとって一番ささやかな幸せは、家に帰るとき。

 

毎日通る通勤路なのに、朝と晩では全く違う風景が見えるんです。僕は人前に出るのが苦手なんですが、子どもたちの前で喋らなければいけないときや、保護者が集まる懇談会・参観日があるときは毎朝とても緊張しています。

 

でも夕方になって子どもたちが帰り、仕事の整理や明日の準備が整い車に乗り込むと、「妻と子どもが待っている」「美味しいご飯が待っている」と思い、一気に緊張がほぐれるんです。思わず、その場で寝てしまいそうになるくらい（笑）。

 

その瞬間が僕にとってはとても愛おしく、1日をやり遂げた安堵感と家に近づいていく幸福感をひしひしと感じられます。帰った後は、子どもと一緒にお風呂に入ったりご飯を食べたりして、さらに幸せを実感できますね。

 

 

迷うことなく幼稚園を職場に選んだ理由

 

高校で進路を考えたとき、中学のときに職場体験をした保育園を選びました。理由は子どもたちと一緒に遊んだ時間がとても楽しかったから。沢山の子どもたちが僕に近寄ってきてくれて、こんな仕事につけたらいいなと思っていました。

 

その頃は男で幼稚園や保育園の先生になるという人は少なく、もしかすると周囲には変わり者と思われたかもしれません。しかし、一つ決めると最後までやり通したい性格だったため、迷うことなく保育士と幼稚園教諭が取れる専門学校に進学。卒業と同時にこの幼稚園に就職しました。

 

さらに我が子が生まれてからは、気持ちが大きく変わりました。今までそんな風に考えることはなかったけれど、「子どもたち一人ひとりに親がいる」「もしこの子が我が子だったら……」と置き換えることが増えた。自分がお母さんだったら、幼稚園で我が子をどんな風にかわいがってもらいたいか。27人の子どもたちの母親になった気持ちで見れるようになりましたね。

 

 

 

 

 

一番の『お助けマン』は妻！

 

幼稚園の仕事と言えどもさまざま。クラスの担任や主任、園長先生や運転手さんをはじめ、それぞれ重要な役割があります。

 

僕は最初の2年間を除いて年長クラスを担任し、もう9年ほど経ちました。20代の頃と比べて厳しく指導するときも増えてきたので、子どもたちに「あ〜、たく先生来たな〜……」と身構えられることもあるようです。

 

その分たくさん遊んであげたりかまってあげたりするなど、子どもたちとの関わりも大事にしています。

 

一番の悩みは、相談できる場所がないこと。幼稚園は女性が多い場所なのでコミュニケーションが取りづらく、悩みを打ち明ける機会が少ないんです。そんなときは我が家の『お助けマン』である、妻がアドバイスをくれます。実は、彼女もほかの保育所で働いていて、忙しい時期には衣装や飾り付けの作成を手伝ってくれることも。物事をズバッと言う人ですがとても親身になってくれて、一番頼りになる存在ですね。

 

 

 

 

大好きな仕事を続けるために

 

今も昔と変わらずこの仕事が大好きなため、現状のままでもよいかなという甘えもありますが、いずれはステップアップしていきたいです。主任や園長先生になれたらいいなという気持ちはありますが、今は修行の身。上司を見ていると、この仕事量をこんな短時間でこなすのか！と感心することも多く、人を動かす能力も身につけなきゃいけないなと思っています。