岩佐 麻里子

しゃべらずして人を笑わせた瞬間

エンターテイナー

岩佐 麻里子さん

あなたのミニハピを教えて

言葉なしだから、言い訳ができない

 

日本で「フィジカルコメディ」や「クラウン」と聞いてピンとくる人って、少ないと思うんですよね。別の言い方で、道化師(ピエロ)と説明しても目が「?」となるし、チャップリンを例にしてようやく、「あぁ」って反応になることがほとんど。・・・かくいう私も以前はそうだったのですが(笑)。

 

現在は、ニューヨークを拠点にフィジカルコメディアンとして活動しています。アメリカのサーカス団「RING LING BROS.」に所属していた2012年からの約3年半は、全米を列車で回る生活をしており、その期間は、クラウン(ピエロ)を演じていました。

 

Florence Lewet

(C) Florence Lewet

 

日本では演劇(舞台)やダンスを中心に活動しており、それらの道を究めたいと思ったことがきっかけで、ニューヨークへやってきました。この街には、演劇やダンス、ミュージカルにおいて、世界のトップに立ちたい人が集まってくる。レベルが高いのは言うまでもなく、ここで生き残るのは大変だということはすぐに実感しました。

 

演劇やダンス以外にも自分の武器として何か新たなチャレンジを、と思っていた矢先に出合ったのが、フィジカルコメディだったんです。身体の動きや表情だけで見せるコメディ。演劇やダンスをやってきた自分にとっては、斬新でした。

 

ダンスなら人種による骨格体型や身体能力、演劇の舞台なら言葉(言語)と、どうしても日本人として壁になりうる要素があった。それに比べて、フィジカルコメディは言葉なしだし、言い訳ができないんです。だからこそ、自分のフィジカルパフォーマンスで人が笑うのを見る瞬間はとてもうれしい。自分の特徴や癖こそ武器になる。それを実感し、フィジカルコメディを学び続けています。

 

04-005

 

 

当たり前の日常をいかに非日常に見(魅)せるか

 

人が「おっ!?」って思ったり興味をそそられるときって、驚かされたときだと思うんです。意外性というのかな。お笑いの言葉でいうと、オチってことになります。フィジカルコメディは、そのオチを、身体の動きや顔の表情を使って表現することが目的。フィジカルコメディの世界は「日常をどれだけ非日常にするか」だと思っています。

 

見る人の想像する場面展開をくつがえすオチであって初めて、笑いを誘う。だからこそ、わかりやすく大げさな位がちょうどよかったりもするのですが、逆にリアリティがなさすぎても人の興味が薄れてしまうため、その辺は常に観察しながら・・・です。

 

 

Maike Shulz

(C) Maike Shulz

 

そういう意味では、人はどんな場面で笑うのか、とか、人の笑うタイミングなど、常に「笑い」について考える癖がつきました。フィジカルコメディの笑いのセンスを磨くために、「ひとりモノ遊び」をするようにもしています。

 

例えば、目の前にセロハンテープがあるとする。テープというものは通常、貼りつけたり、マーキングしたりするために使われることがほとんどだけど、このテープの使い道には、ほかにどんな可能性があるのか? 実際にテープを回したりのばしたりしながら遊んでみるんです。そんな中でふと、面白い動きが生まれたりもする。フィジカルコメディの質はともかく、確実にひとり遊びのスキルは上がっていると思います(笑)。

 

 

 

04-009

 

 

私って、いい子に育ったんだなーって、実感

 

アメリカのサーカス団に所属した際に思ったのは、アメリカ人って、何ていたずら好きなんだ! って(笑)。いたずら上手って言うんですかね。普通に足ひっかけてきたり、後ろから「わっ」ておどかしてきたり、「何かついているよ」って胸のあたりを指さしてきて、相手が下向いた瞬間にその指を相手の鼻にぶつけたり。ショーでもないのに!

 

この上手ないたずらの仕掛け方、いつもどこかに遊び心があることこそが、フィジカルコメディのベースに必要なんだと思います。そういう意味では私は、まだまだ修行が足りないかも・・・。人に足をひっかけるなんて、いたずらだってわかってもドキドキしちゃう。素でいたずらできないって、私ってばホント、いい子に育ったんだなぁと思います(笑)。できないならできないなりに、私はいい子な優等生クラウンで行こうと、あえてキャラクターを作ってみました。特徴や癖を武器にするとは、まさにこのことです。

 

04-008

 

人との距離の縮め方のひとつとして、笑いってあると思うんです。そんなとき、フィジカルコメディってすごく効果的だなって。知らない者同士が言葉なくして共通のものを見て「くすっ」って笑いあったら、それだけで一体感が生まれるじゃないですか。アメリカと日本では、コミュニケーションの取り方が異なりますが、フィジカルコメディを通して人と人とのコミュニケーションの懸け橋にもなれたら最高です。

 

今はフィジカルコメディにフォーカスしていますが、いつでも貪欲に、可能性があれば新たな分野にもチャレンジしていきたいです。人を楽しませることを追求し続け、真のエンターテイナーを目指します!

 

04-006

インタビュー 巌 真弓  / 撮影 Mayuko

岩佐 麻里子
No.088

エンターテイナー

岩佐 麻里子さん

日本大学芸術学部演劇学科演技コース卒業後、舞台を中心に、演劇、ダンス、ミュージカルなどで活躍。

2007年からアメリカ・ニューヨークに移住し、活動の拠点をニューヨークに。2009年に「フィジカルコメディ」という分野に出合い、クラウン(道化師/ピエロ)やサーカスに興味を持つようになる。

 

その後、タップダンスやシアターダンスのトレーニングに励みながら、フィジカルコメディーワークショップやクラウンワークショップにも積極的に参加し、自作自演のフィジカルコメディスタイルを築いて、さまざまなバラエティショーに出演。2012年11月に、アメリカの人気サーカス団『RING LING BROS.』のクラウンオーディションに合格し契約に至る。

 

「ブルー」ユニットのクラウンパフォーマーとして2012年11月から活動開始。全米及びメキシコツアーに参加。2016年5月に3年半勤めたサーカスツアーを離れ、新たなステージに向けて活動中。

WEB http://rossooo.com/
公式FACE BOOK http://www.facebook.com/marikoiwasaofficial

もしこの記事を気に入ってもらえたら、共有をお願いします!

おすすめのインタビュー

Others

インタビューの一覧を見る

お役立ち情報

Useful information

無料でストレングスファインダーが受けられる?強み診断は年収UPに必須!

無料でストレングスファインダーが受けられる?強み診断は年収UPに必須!

年収UPに必要なのは自分の強みを把握すること。 まわりを見渡してください。社内で給料が高い人は、自分の強みを活かしたアウ …続きはこちら

転職経験者に聞いてみた!転職に踏み切ってよかったと思うこととは?

転職経験者に聞いてみた!転職に踏み切ってよかったと思うこととは?

転職経験者に「転職に踏み切ってみてよかった!」と思うことをお聞きしました。転職しようか悩んでいる人はぜひ参考にしてみてく …続きはこちら

人脈ゼロ、25歳(無職)。こんな僕でも助成金をもらえる(…はず)

人脈ゼロ、25歳(無職)。こんな僕でも助成金をもらえる(…はず)

助成金とはどのようなものなのでしょうか。 助成金と補助金はどちらも国や地方から支給されるもので、「返済の義務なし」という …続きはこちら

転職サイトに登録してみようと思うんだけど、どれがオススメ?

転職サイトに登録してみようと思うんだけど、どれがオススメ?

転職活動の悩みの1つが、数ある転職サイトの中からどの転職サイトを利用すればよいのかということ。 今回の記事では、転職活動 …続きはこちら

僕の転活レポート。転職するまでの3ステップ

僕の転活レポート。転職するまでの3ステップ

僕が実際に転職活動をした中で特に重要だと感じたことを3ステップにまとめてみました。これから転職をしようという方はぜひ参考 …続きはこちら

お役立ち情報の一覧を見る

Copyright © Minimum Happiness. All Rights Reserved.