出てきたまかないが好きな料理だった瞬間
新日本恒産株式会社 / CAFÉ de GINZA MIYUKI-KAN 本店
上村 和博さん
まかないがランチメニューになることも
まかないはスタッフの腕の見せ所。基本的に余りもので作ってるんですけど、うまくできたものは改良を加えて、日替わりランチのメニューにすることもあります。だから、メニューの試作という意味も兼ねて本格的に作るんです。おいしいですよ。
僕はプッタネスカ(アンチョビを使ったトマトソースのパスタ)が好きで、まかないで出てくると、「お、僕の好きなやつじゃん」とテンションが上がる。疲れも吹っ飛びます。わさびを使ったパスタなど、アイデアレシピを考えてくれるスタッフもいて楽しみのひとつになっています。もちろん僕もまかないを作るので、スタッフが「今日のまかないやばい、うまいっす」なんて言ってくれるとガッツポーズです。
最初に一言、「無理です」
銀座本店で店長をする前は、立川店で店員を5年ほどやっていました。2014年の年末に社長から「本店をリニューアルするので君に店長をやってもらいたい」と言われたんです。大抜擢だったので、うれしかったですね。けれど、最初に「無理です」って言いました(笑)。
本店は32年の歴史があります。その店長が俺でいいのか? って。店長経験がないので不安だったんですよ。けれど社長は、「誰でも最初は初めてだから」って名言めいたことを……(笑)。結局任せていただけることになり、2015年の3月から店長をやっています。初めてのことが多いので、大変なこともあるけれど、貴重な経験の連続です。
尊敬できる先輩がいたから
専門学校を卒業して、お菓子屋さんに就職したんですが、1年で辞めたんです。それから、CAFÉ de GINZA MIYUKI-KANルミネ立川店でアルバイトをしていました。その頃、友人の洋菓子店から正社員にならないかという誘いがあったんです。そろそろ正社員として働こうと思っていたので、前向きに考えました。そのことをアルバイト先の店長に伝えたところ、「それよりも、うちに来い!」って誘ってくれたんです。
その店長からはたくさんのことを教えてもらいました。「ホールに出たら、なるべくお客さんとしゃべる。それで時間をとられるのは問題ない」という教えは、今の指針にもなっています。オンオフがはっきりした方で、仕事が終わると一緒に焼肉やラーメンを食べに行ったり、たまに遠出して釣りにも連れて行ってもらいました。自分にないアクティブなところが魅力的な方。仕事上はもちろんですが、人間的にも尊敬しています。顏は怖いけれど(笑)。
その方に誘ってもらえたので、友人の誘いを断って、CAFÉ de GINZA MIYUKI-KANで正社員になました。今でも立川店の店長をされていて、「そっちはどうだ」とか電話をくれる。気にかけてくれているのはとても心強いです。尊敬できる先輩がいたから今の自分があるんだなと思います。
人がつながる場所をつくりたい
人がどこでご飯を食べるか決めるときって、店の造りとか雰囲気、料理の味などがありますけど、その店で働いている人に惹かれる部分もあると思うんです。今日は誰々がいるから行こうとか。注文をとって、料理を出して、お会計をして、事務的にこなしているだけだと、どこで食べても一緒になっちゃうと思います。だから、うちのお店はできるだけお客さんとコミュニケーションをとって、料理だけでなく人にも会いに来てもらえるように意識しています。スタッフにもホールに出てお客さんと話すように言っています。その方がこちらとしても楽しいですしね。
いずれは独立して地元で店を開くことができたらいいなと思います。地域の人が集まって、店員とお客さんが分け隔てなくしゃべって楽しんで帰ってもらうようなお店。高校の同級生とかが何気なく立ち寄って、疲れを癒すようなところがいいですね。まだまだ修行の身なので、ここでしっかり学ばせてもらっています。
インタビュー トグチダ / 撮影 北原 千恵美
新日本恒産株式会社 / CAFÉ de GINZA MIYUKI-KAN 本店
店長
上村 和博さん
専門学校時代にフランスへ留学し、お菓子作りを学ぶ。帰国後洋菓子店に就職するも、1年で退職。その後、居酒屋とCAFÉ de GINZA MIYUKI-KAN 立川ルミネ店でアルバイトを始め、同カフェの正社員になる。5年ほど店員として働いた後、現在は銀座本店の店長を務めている。
HP: http://www.cafe-ginza-miyukikan.com/
TEL:03-3574-7562