名嘉山 直哉

追い込まれているときに「これだ!」というフレーズが浮かんだ瞬間

フリーランス

名嘉山 直哉さん

あなたのミニハピを教えて

苦しいからこそ輝ける

 

仕事をしていると「ああ、苦しいな・・・」って思うことがあります。でもそういうときこそ、自分は輝いていると感じるんです。

 

文章を書いていると、セオリー通りに書いてもつまらないときがあります。自分が感じた発見をうまく表現できずに悩むんです。そういうときは、締め切りが迫りほかの仕事があるなかでも、ぎりぎりまでもがく。そのうちに、バシっと「これだ!」というフレーズが浮かぶ。そのときには得難い充実感がありますね。もちろん悩んだ末に結局言葉が出てこないこともあるんですけどね(笑)。

 

 

現在はフリーランスで書籍やWEB、広告のライティングや編集をしています。もともとは新卒でIT関係の仕事をしていたんですけれど、26歳のときに会社が倒産し、それをきっかけに転職しました。何か面白いことがしたいなと職を探して、書籍の編集プロダクションに入ったんです。そこに3年ほど勤めて、フリーランスに転身しました。

 

辞めるときに根回しをあまりしてなかったから、すぐには仕事がなかったので、最初は営業を結構していました。雑誌の編集部に電話して「お手伝いできませんか?」とか。企画を持ち込んだこともありましたね。相手にしてもらえないことがほとんどでしたけれど、そういう活動を経て、ちょっとずつ仕事をもらえるようになってきました。

 

フリーランスのライター・編集者になって4年目になりますが、まだ忙しさに波があります。編集プロダクション時代は、常に忙しくて気がつかなかったんですけれど、暇な時間を経験してみて、忙しいとかえって自分が輝くことに気がついたんです。本気を出して、限界に挑戦しているときの快感というか。まあ、ナルシストなんでしょうね。

 

 

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ライターとしての得意分野が欲しい

 

ライターって得意分野を持っている人が多くて、フリーになって間もない頃に自分も何か得意分野を作りたいと思ったんです。そこで立ち食いそばチェーンの富士そば研究を始めました。

 

ラーメンとかファッションとかで勝負してもライバルが多いので、もっとマニアックなものがよかった。作家の東海林さだおさんが好きで、彼が西荻窪の富士そばを取り上げたエッセイを読んだことがあったんです。それが面白くて、富士そばは掘り下げるポテンシャルがあると思っていたんですよね。

 

まだ仕事にはつながっていないのですが(笑)、「富士そば原理主義」というブログで各店舗の魅力を紹介しています。2015年には都内の富士そばを全店制覇(当時85店舗)して、2016年から「富士そばライター」を名のっています。

 

 

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富士そばのようなライターになりたい

 

富士そばって店舗ごとに味やメニューが違うんですよ。マニュアルからはみ出した魅力が一店舗ごとにある。そういうのが面白くて。詳しくはブログを読んでください(笑)。

 

最初は単純に富士そばが好きだから富士そばライターを名のっていたんですけど、だんだん考え方が変わってきて。富士そばみたいな赴きや個性のあるライターになりたい、という思いで富士そばライターを名のっています。

 

文章は極端にいうとセオリーやマニュアル通りの、必要な情報が入り読みやすければいいんです。でもそこからはみ出す個性や趣を出していきたいんです。

 

あるクライアントから、「君の文章は硬いね。もっと君が書いているブログみたいな感じを出してよ」って言われたことがあるんです。編集プロダクション時代に培った、いわゆる正しい文章を提出したときでした。それが面白くないと。戸惑いましたよね。「え、ブログ? あんな文章で大丈夫なの?」みたいな(笑)。でもそのときから、個性を出すということを意識するようになりました。

 

もちろん媒体によって使いわけはしますが、個性を出せるライター、富士そばのようにマニュアルを超えた味わいが出せればいいなと思っています。

 

 

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誰かの人生を変えてしまうかもしれない仕事

 

原稿を書いているとき「この文章が誰かの人生を変えてしまうことがあるのではないか?」という感覚になることがあります。今、若者向けに田舎暮らしを提案する雑誌に関わっていて。企画から携わっているんですが、そういうライフスタイルを提案する雑誌って、読んだ人が実際に行動を起こすことがあると思うんです。極端に言うと「こんなに田舎は素晴らしいんだ。よし移住しよう」みたいなことですね。情報は人生を左右する重みがある。

 

特にすごくいい取材対象に出会って、いい文章が書けたときは、「人生変えちゃうかも」ってドキドキします。まったく別のところで「あの雑誌読んで、参考にさせてもらいました」というようなことを言ってもらえたこともあって。やりがいと同時に責任も感じて、身が引きしまる思いです。

 

これからもいろんな媒体に関わって、ライター、編集者として腕を磨いていきたいですね。いつか名前で売れるようなライターになれるよう日々精進です。あとは富士そばへのラブコールも続けます。最近は富士そばのミニコミ誌を構想しています。

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インタビュー トグチダ  / 撮影 北原千恵美

名嘉山 直哉
No.079

フリーランス

ライター・編集者

名嘉山 直哉さん

沖縄県出身。2005年大学卒業と同時に上京しIT関係の会社に入社するも4年目に倒産。2009年に編集プロダクションに入社し編集者、ライターになる。2013年よりフリーランスとして独立。現在は書籍、雑誌、WEB、広告など幅広いジャンルの媒体でライティングと編集を手がけている。

ブログ:「富士そば原理主義」
twitter:@l_f_nakayama

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